Biology

SMAの罹患率および有病率については、さまざまな数値が報告されています。日本における乳児期から
小児期に発症するSMAの罹患率は10万人あたり1〜2人です4

SMAでは、脊髄内の運動ニューロンの変性・消失によって、骨格筋の萎縮と、一般的に四肢を含む筋力低下が起こります。球麻痺および呼吸筋への影響にはばらつきがあります1,2

脊髄内に存在する下位運動ニューロンは、
中枢神経系(CNS)の運動機能に関与する重要な神経細胞です5

SMAによる認知機能への影響はありません。多くのSMAの小児は診断時に意識は清明で、
全身の筋力低下とは対照的に周囲に対する注意力のある表情をしています2

SMAの主要な責任遺伝子は解明されています。

survival of motor neuron 1SMN1)遺伝子の役割は脊髄に高度に発現するSMNタンパク質の産生であり、
このタンパク質は運動ニューロンの生存に不可欠であることが分かっています
1,3

SMAでは、SMN1のホモ接合性遺伝子変異または欠失によってSMNタンパク質の
不足が起こり、それによって脊髄内の下位運動ニューロンの変性が生じます6,8

 

ほぼすべてのSMA患者さんはSMN1のパラロガス遺伝子(重複遺伝子)である
survival of motor neuron 2SMN2)遺伝子を有します2,9

  • SMN2SMN1とゲノム配列がほぼ同じで、5ヌクレオチドのみが異なっています6
  • しかし、SMN2ではエクソン7の6位のヌクレオチドがCからTに置き換わっていることから、
    転写中にエクソン7のスキップをもたらすエクソン内スプライシング抑制配列(ESS) が生成します2
  • その結果、SMN2は短縮型の非機能性SMNタンパク質を産生します2

SMN2転写産物のうち、全長のSMNタンパク質は約10%に過ぎないため、
CNS内の脊髄運動ニューロンの生存を維持するためのSMNタンパク質の量が
不十分になります2

SMN2はSMAの表現型を修飾します。

SMA患者さんのSMN2 の遺伝子コピー数にはばらつきがあり、
SMN2のコピー数の多さは疾患重症度の低さと相関しています2

  • SMA患者さんの95%以上が1コピー以上のSMN2を保有しています。
  • I型SMA患者さんの約80%が1または2コピーのSMN2を保有しています。
  • II型SMA患者さんの約82%が3コピーのSMN2を保有しています。
  • III型SMA患者さんの約96%が3または4コピーのSMN2を保有しています。

SMN2コピー数は疾患重症度に関連していますが予後予測因子ではないので、
コピー数のみに基づいてケアの決定を下すべきではありません10,11

  • SMAのいずれの病型の症例においても、SMN2コピー数による予後の予測精度は発症年齢および機能的能力より劣ります12,13
  • SMN2以外にも、プラスチン3タンパクレベルなど、疾患重症度の遺伝的修飾因子に関するいくつかのエビデンスが得られています11

出典

1. Lunn MR, Wang CH. Spinal muscular atrophy. Lancet. 2008;371(9630):2120-2133. 2. Darras BT, Royden Jones H Jr, Ryan MM, De Vivo DC, eds. Neuromuscular Disorders of Infancy, Childhood, and Adolescence: A Clinician’s Approach. 2nd ed. London, UK: Elsevier; 2015. 3. Kolb SJ, Kissel JT. Spinal muscular atrophy. Arch Neurol. 2011;68(8):979-984. 4. 難病情報センターHP(http://www.nanbyou.or.jp/entry/135)2016年12月現在 5. Islander G. Anesthesia and spinal muscular atrophy. Paediatr Anaesth. 2013;23(9):804-816. 6. Lefebvre S, Bürglen L, Reboullet S, et al. Identification and characterization of a spinal muscular atrophy-determining gene. Cell. 1995;80(1):155-165. 7. Ogino S, Wilson RB. Spinal muscular atrophy: molecular genetics and diagnostics. Expert Rev Mol Diagn. 2004;4(1):15-29. 8. Genetics Home Reference. SMN1. https://ghr.nlm.nih.gov/gene/SMN1. Published April 20, 2016. Accessed April 25, 2016. 9. Swoboda KJ. Romancing the spliceosome to fight spinal muscular atrophy. N Engl J Med. 2014;371(18):1752-1754. 10. TREAT-NMD. Diagnostic testing and care of new SMA patients. http://www.treat-nmd.eu/downloads/file/standardsofcare/sma/english/sma_soc_en.pdf. Accessed May 10, 2016. 11. Butchbach ME. Copy number variations in the survival motor neuron genes: implications for spinal muscular atrophy and other neurodegenerative diseases. Front Mol Biosci. 2016;3:7. 12. Prior TW, Krainer AR, Hua Y, et al. A positive modifier of spinal muscular atrophy in the SMN2 gene. Am J Hum Genet. 2009;85(3):408-413. 13. Burnett BG, Crawford TO, Sumner CJ. Emerging treatment options for spinal muscular atrophy. Curr Treat Options Neurol. 2009;11(2):90-101. 14. Monani UR. Spinal muscular atrophy: a deficiency in a ubiquitous protein; a motor neuron-specific disease. Neuron. 2005;48(6):885-896.

疾患重症度に影響を与える可能性があることから、SMN2 は治験薬のターゲットとなっています14

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